長谷川摂子さんご逝去に寄せて

児童文学作家、絵本作家の長谷川摂子さんが、18日に逝去されたそうです。

http://www.asahi.com/obituaries/update/1023/TKY201110230279.html

言葉遣いの美しい文章を書く方でした。
一度聞いただけで子どもの耳に残り、何度も遊びの中で繰り返してしまうようなゆかいでリズミカルなフレーズをたくさん「発明」した作家さんでした。代表作「めっきらもっきら どおんどん」に出てくるへんてこな歌や、「きょだいな きょだいな」の「あったとさ あったとさ ひろい のっぱら どまんなか」というフレーズがいつも子どもたちのお気に入りであるように、転がるようなリズムと温かな視点に裏付けされた言葉で、言葉遊びや詩の楽しさを、たくさん子どもたちに伝えてくれた方でした。

鹿児島のおはなし会で、6歳の男の子が読んだ

「りんご りんご りんご りんご
 りん りん りん 
 りんごのなかで すずが なっている」
 (後略)

という詩がありました。こんなに単純なのに、「りん」という音の響きの透明感を見事に表していて、それでいて子どもにも楽しめる言葉遊びの要素を含み、「これはいい!」と、一度聞いただけで完璧に憶えてしまいました。その後、自分のおはなし会でも使ったりしたのですが、いったい誰の作品なのか、ずっとわかりませんでした。

その後3年経って、文庫に寄付していただいた古い「こどものとも」の中にこの詩をみつけたときの、思わず笑顔が沸き上がってくるような、懐かしい子どものころの気に入りのおもちゃをおしいれの隅にみつけたような、瑞々しい喜びを今も記憶しています。この詩の作者も、長谷川摂子さんでした。

「ふっふっふ
 こちらは じごくまち
 えんまだいおうちょうの うけつけ
 じごくにおちたいかたは どなたかな」

という「きょだいな きょだいな」の一節は、子どもたちに大人気です。でも、ご自身のその瞬間に長谷川さんが聞かれたのは、きっと天国からのお褒めの言葉だったろうと思います。何しろ、何十年もの長きに渡って子どもたちを楽しませてくれる、美しい言葉の数々をたくさん残して行かれたのですから。そして今後も、その言葉たちはきっと子どもたちに語られ、これからの未来を支えてゆくのですから。

長谷川さんの残してくれた多くの物語を、子どもたちに伝えてゆくのは、私に与えられた仕事のひとつだと思います。
心からご冥福をお祈りします。ご存命のうちに是非、一度お目にかかりたかった、憧れの作家さんのお一人でした。

clst2 の紹介

ニュージーランド在住18年目に突入。なんでこんなに長くなっちゃったんでしょう?
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